2012年5月11日金曜日

放射線特殊治療科|診療科ご紹介|日本赤十字社医療センター


 

血管内治療について

血管内治療はカテーテルという特殊な細い管を血管内に挿入し、各種の疾患を外科的手術のかわりに低侵襲的に治療する特殊な手技です。
原則として各診療科からの依頼に応じて治療しますが、血管病変に関しては血管内治療センター外来をご予約いただき、直接受診していただくことができます。  

1.血管病変

(1)末梢動脈閉塞性疾患(下肢閉塞性動脈硬化性症、腎動脈および鎖骨下脈狭窄等)透析シャント閉塞、動脈瘤
   →血管形成術を施行
   
(2)動脈瘤、四肢・顔面動静脈奇形、動静脈瘻
   →動脈塞栓術を施行
   
(3)胃静脈瘤
   →硬化・塞栓術を施行
   
(4)静脈血栓塞栓症 (肺動脈血栓塞栓症・下肢静脈血栓症)
   →血栓溶解・除去術、下大静脈フィルター挿入術を施行
   

2.腫瘍

 肝癌、その他の腫瘍
 →動脈塞栓化学療法、動注化学療法を施行
    

3.その他

  肺組織検査として、CT透視ガイド下肺生検などを施行


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1.外来から治療前日まで

血管内治療センター外来ではIVR専門医が診察し、入院までに必要な検査を行ないます。
外来にておこなわれたCTやMRI検査から三次元画像を観察して治療計画を立てます。
例えば閉塞性動脈硬化症では三次元画像で血管径の計測、石灰化の評価をおこない治療に必要なカテーテルや器具類を決め、用意します。

2.入院時

治療前日の入院時、患者さんは家族同伴で血管内治療センター外来を訪れます。
ここでIVR専門医が治療の内容、成績、治療にともなうリスクや合併症について詳しく説明します。
患者さんおよびご家族が治療について十分理解した段階で血管内治療の「説明書と同意書」をお渡しします。

3. 血管内治療当日

血管内治療日は原則として必ずご家族の方に外科手術と同様に病院内に待期していただいています。
治療後はカテーテルを入れた血管を圧迫して止血しますので6〜24時間、ベット上で安静となります。
翌日、圧迫が解除された後は歩行が可能となります。

4.入院期間と血管内治療の経過観察

入院期間は血管内治療の種類によって異なりますが平均7日から14日を見てください。
退院前に患者さんおよびご家族に血管内治療の結果説明を行い、退院後も血管内治療センター外来でIVR専門医が治療の経過を見ていきます。


足の発疹の原因

ANGIO−CT装置

CINE−ANGIO装置

1.閉塞性動脈硬化症の治療
 
足の動脈硬化の重症度は症状によりI−IV度に分類されます。
下肢に冷感、しびれを感じる(I度)。歩行時に筋肉の痛みが生じ、休むと症状が改善する(II度)。安静時でも痛みがある(III度)、足に潰瘍・壊死を形成する(IV度)。I-II度では薬物および運動療法が行なわれますが、III-IVでは血管内治療、バイパス手術が選択されます。
最近では血管内治療が第一に選択されるようになりつつあります。局所麻酔をして足の付け根から細い管を入れ、風船のついたカテーテルやステントと呼ばれる金属製の小さな筒を血管内に埋め込んだりする方法でつまっている血管を拡げて治療します。

2.脳動脈瘤以外の動脈瘤の治療 

腹部の血管にできた瘤(こぶ)は破れると出血を起こし、生命にかかわります。
局所麻酔をして足の付け根から細い管(カテーテル)をこぶの入り口まで誘導し、特殊な金(コイル)を入れて、つまらせて治療します。
また、カバーされた金属の筒(ステントグラフト)を用いて瘤(こぶ)の入り口を遮断して治療します。
ただし、脳動脈瘤の治療に関しては脳神経外科に問い合わせください。

3. 四肢・顔面動静脈奇形の治療 


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先天性の血管形成異常の中で血流の早いタイプの動静脈奇形(AVM)は顔面・四肢に好発し、生下時より発育とともに徐々に増大します。
病変の増大に伴い疼痛、腫張、出血などの症状が現れると治療が必要です。
血管奇形の多くは手術が難しく、血管内治療が第一選択となりつつあります。
局所麻酔をして足の付け根から細い管(カテーテル)を挿入し、このカテーテルから特殊な硬化剤を入れ、血管奇形の中心部(ナイダス)を血栓閉塞させて病変の縮小を図ります。
血管奇形を専門に治療できる施設は少なく、IVR専門医による個々の病変部位と症状に応じた対応が必要です。

4.静脈血栓塞栓症の治療 

肺動脈血栓塞栓症はいったん発症すると死亡率が30%を越える重篤な病気です。
原因のほとんどが足の太い静脈(下肢静脈)にできた血栓です。血栓ができると下肢の腫れ、痛みを伴います。
下肢静脈にできた血栓は血液の流れにのって肺動脈をつまらせます。
肺局所麻酔をして足の付け根、腕、膝などから細い管(カテーテル)を入れ、閉塞した血管の血栓を溶解および吸引したあと、血管を拡張して血液の通りをよくして治療します。
また、足や骨盤内にできた静脈血栓は肺の血管に飛んで詰まると致命的な状態となることがあります。
飛んできた血栓を捕らえるために途中の下大静脈に金属でできたフィルターを置いて治療します。  


5.肝臓癌・その他の腫瘍の治療
 
肝臓や膀胱などのがんに栄養を供給している血管に細い管を誘導してつまらせて治療したり、抗がん剤を直接注入しますので副作用が少なくてすみます。また、皮膚の下に埋め込む薬剤注入器具(リザーバー)を使用すると、お風呂にも入れ、外来での治療も可能です。

血管内治療センター外来(要予約)

月、水曜日 9:00〜10:00

木曜日  13:00〜14:00

【予約について】

1.かかりつけの病院・診療所がある方
当センター医療連携室を窓口として外来予約ができます。
医療連携室からご依頼があった病院・診療所へ御連絡いたします。

2.かかりつけの病院・診療所がない方
血管病変に関しては放射線科受付を窓口として、直接外来予約ができます。
医師の診察後に血管内治療の適応を決定します。



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